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「ベイヒルズ社労士事務所便り2019年9月号」を発行しました

転勤をめぐる近時の報道と、配転命令権

◆AIG損保、転勤を廃止

 AIG損害保険が、転勤の多い保険業界では珍しく、転勤を原則として廃止したと報道されました。
 一般に「転勤のある社員」と「地域限定社員」に分け、給与に1~2割の差をつける企業が多いところ、同社は「限定社員が格下の印象となり、優秀な人の出世の障壁になる」として、廃止に踏み切ったとのことです(日本経済新聞2019年7月17日付)。

◆転勤命令で騒動となったカネカ

 一方、今年6月には、カネカが育休対応問題で炎上しましたが、そのきっかけは、男性社員が育休復帰後2日で転勤の辞令が下され、これを拒否したことでした。同社は「当社対応は適切であった」というコメントを公表していますが、世間からはその適法性ではなく、一連の企業姿勢を疑問視されることとなりました。

◆企業には転勤命令権が認められているが……

 転勤拒否の法律問題を考えるうえで非常によく言及されるのが、東亜ペイント事件(最高裁昭和61年7月14日判決)という有名な裁判例です。企業の転勤命令権を広く認めた判例として、以後の多くの人事・労務実務や、労働紛争に影響を与えています。
 しかし、その事件発生は1973~74年、判決が1986年のことであり、最近では、ワークライフバランスなどの観点から、転勤の必要性は厳しく吟味されるべきという声も高まってきています。
(大内伸哉「キーワードからみた労働法」、日本法令「ビジネスガイド」2019年9月号掲載)。

◆厚生労働省も転勤見直しを促進

 自社の転勤のあり方を吟味する際の手引きとして、厚生労働省が下記資料を公表しています。AIG社のように全面廃止するだけでなく、雇用管理の類型ごとの運用メニューとするなど、いくつかの例が示されています。
 古くて新しい転勤問題。いまいちど、自社制度の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

【厚生労働省雇用均等・児童家庭局「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」(平成29年3月30日)】
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11903000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Shokugyoukateiryouritsuka/0000160191.pdf

2021年卒の採用活動が早期化?

◆困難を極める企業の採用活動

 人手不足が叫ばれて久しい昨今、採用難に陥
っている企業も多いのではないでしょうか。
 人手不足対策として、外部人材(フリーランス)の活用を検討する企業などもありますが、まずは採用活動を充実させたいという企業にとっては、今後どのような対策をとっていくかは悩ましいところです。

◆就活ルール廃止による採用活動への影響は?

 昨年、経団連は、2021年度以降に入社する学生を対象とする採用選考に関する指針を策定しないことを発表しています。
 経団連では、加盟企業に「学生の本分である学業に専念する十分な時間を確保するため」として、採用選考活動については、説明会等は3月、面接等の採用活動は6月より前に実施しないよう要請していましたが、そのルールが解放されたことになります。
 実質、形骸化していたともいわれていたこの「採用ルール」ですが、廃止されたことによる変化はあるのでしょうか。

◆2021年卒ではインターンシップをすでに経験済の学生が増加

 株式会社マイナビが2021年卒の学生を対象に実施した「2021年卒マイナビ大学生インターンシップ前の意識調査」(調査期間:2019年6月20~6月30日、調査対象:マイナビ2020年会員のうち、「2021年春」に卒業予定の大学生・大学院生6,336名)によれば、6月末時点ですでにインターンシップへの参加経験がある学生は23.8%(前年比5.0%増)と2020年卒学生よりも多かったということです。
 インターンシップ自体は「選考活動とは別」として実施している企業も多いですが、全体的に採用活動自体が早期化していくことも予想されています。

◆採用活動の流れを踏まえた対応を

 現在、長年実施されてきた春の一括採用自体が見直され、通年採用に移行していくような動きもみられます。今後は、採用活動が早期化するだけではなく、採用の方法自体が多様化していくことも想定されるのではないでしょうか。
 中小企業も、これからの採用活動の流れを踏まえつつ、人を集める独自の採用活動の手法を検討していく必要があるでしょう。

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